B5判 144頁
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(2023年11月30日発行)
自動車整備業界の景況感が大きく改善したことが、日本自動車整備振興会連合会が実施した「整備需要等の動向調査」で明らかになりました。2023年1〜6月の調査結果をみると、総整備売上高DIは前期(2022年7〜12月)から13.2ポイント上昇し+10.2とプラス圏に浮上しました。新型コロナウイルスによる行動制限がなくなり、ほぼ平常に戻ったことで車での外出機会も増えていることから自動車関連支出が増え、車検台数も堅調に推移していることが要因です。
一方で、2020年4月に「自動車特定整備制度」が施行され、新たに創設された「電子制御装置整備」の認証を取得する整備事業者が2023年9月末時点で53%に留まっていることが分かりました。自動車の電動化が進む現代では、電子制御装置整備への対応は不可欠ですが、半数近い事業者は未だ未認証のままです。
こうした中で、2023年10月から「OBD検査」のプレ運用が始まりました。OBD検査が本格運用される2024年10月に向けて1年間に渡りプレ運用が実施されます。この機会に整備事業者は積極的に運用することが望まれます。
このような新たな制度への対応とともに、現在の整備事業では「顧客の信頼」を得ることの重要性が一段と高まっています。ビッグモーターによる自動車保険金の不正請求問題に端を発して、自動車業界全体にユーザーから厳しい目が向けられている今だからこそ、顧客の信頼を得るために何をすべきかを考える時です。
また、今後、整備業界で最大の課題になるのは「整備士不足」です。すでに整備人材を確保できずに廃業する工場や指定工場資格を返納する動きが顕在化するなど、整備人材の確保は死活問題になっています。待遇改善や働きやすい職場環境の創出などに取り組みつつ、外国人材の採用についても積極的に考える時期にきています。
本書は、こうした自動車整備業界を取り巻く環境を網羅しながら、その対応策を掲載することで、厳しい時代に生き残りを目指す整備事業者の参考に資することを目的に編集しました。巻末には、自動車機械工具各社の主要製品と企業要覧も収録しています。
掲載項目
自動車整備業界の実態<1>
車検台数の増加など総整備売上高DIの
上昇で整備業界の「景況感」が過去最高に

自動車整備業界の実態<2>
特定整備認証で整備工場数が増加へ!
電子制御装置整備の新規認証取得が続く

自動車整備業界の実態<3>
経過措置終了までに電子制御装置整備
認証を4割の工場が取得しない可能性

自動車整備業界の実態<4>
過去2年間で指定工場の処分件数が急増
指定の取り消しと検査員解任が特に増加



電動車時代の自動車整備業<1>
故障修理対応、エーミング作業対応など
整備工場の知識・技術面での遅れが目立つ

電動車時代の自動車整備業<2>
ユーザーの安全機能への関心の高まりは
ディーラー志向を高めて専業離れを招く

電動車時代の自動車整備業<3>
「EV時代」に立ち向かう整備事業者と
メーカーが考える整備事業者のあるべき姿

電子車検証調査
車の所有者は「電子車検証」に概ね好評
車検関連事業者は現状に課題を感じる



OBD検査に備えよう<1>
2024年10月のOBD検査開始に向け
プレ運用と整備事業者向け支援が開始

OBD検査に備えよう<2>
OBD検査のプレ運用の実施にあたり
検査実施機関が整備事業者に協力を依頼

国土交通省「OBD検査準備会合」
OBD検査の準備促進のためID登録率、
初回ログイン率、アプリ使用実績を公表



顧客の信頼こそ事業の根幹<1>
ビッグモーター問題が整備業界に飛び火
ユーザーの不信の目をいかに解消するか

顧客の信頼こそ事業の根幹<2>
車検店選びでは「信頼」と「顧客対応」が
重要も、コロナで「安さ」への要望が浮上

顧客の信頼こそ事業の根幹<3>
車検・修理のサービスに不満を感じると
6割超のユーザーが依頼先を変える!

車検費用は高い
ユーザーの9割以上が車検費用は「高い」
約4割が車検をきっかけに車を乗り換え



転換点を迎えた日本版DRP<1>
ビッグモーターの保険金不正請求を受け
東京海上日動が新たな指定工場制度を発足

転換点を迎えた日本版DRP<2>
自動車メーカーに選ばれる整備工場
これこそがBSサミットが進む道!



自動車整備業の人材確保策<1>
整備要員不足を補うための業務効率改善策と
整備要員の定着率向上につながる待遇改善策

自動車整備業の人材確保策<2>
自動車整備の高度化に対応する人材確保に
向けた自整業のOne Teamを目指して

自動車整備業の人材確保策<3>
自動車整備に関する高校生の意識調査
整備人材の流出を防ぐために必要なこと

自動車整備業の人材確保策<4>
整備業界の人材不足を特定技能外国人と
外国人技能実習生が両輪で補う時代へ



自動車整備市場の動向<1>
総整備売上高は3.4%増の5兆7388億円
「車検整備」と「点検整備」が連続伸長

自動車整備市場の動向<2>
新車の長納期化で車検台数は過去最高に
台数増と単価上昇で車検売上は6年連続増

自動車整備市場の動向<3>
指定工場の車検シェアが過去最高を更新
認証工場は現状維持、ユーザー車検は減少

自動車整備市場の動向<4>
車検整備単価は6万9019円まで上昇
2年車検は3年連続UP、1年車検は最高

自動車整備市場の動向<5>
専業の整備売上が過去10年間の最高に
指定は4年連続増加、認証も急回復

自動車整備市場「当面の見通し」
電動車とコネクテッドカーの保有率が向上
人材確保の取り組み強化と人材育成が課題

協業・協同組合に活路はあるか
組合員の減少など厳しい状況に立たされ
「解散」または「組織変更」する組合が続出

整備要員と板金・塗装要員の「給与実態」
整備要員430万円、板金・塗装要員422万円
板金・塗装要員は増加も整備要員は減少

機械工具企業要覧