B5判 144頁
3,300円(税込)送料別
(2021年11月30日発行)
本書を発行する2021年11月時点では、新型コロナウイルスの感染拡大には一定の歯止めがかかっています。しかし、夏場までは断続的に緊急事態宣言が発出され、飲食、観光、宿泊、輸送業など経済へのダメージは色濃く続きました。
ただし、自動車整備業界への影響は限定的に留まり、むしろ上昇していることが、日本自動車整備振興会連合会が実施した「整備需要等の動向調査」で明らかになりました。2021年1〜6月の調査結果をみると、総整備売上高DIは+2.2で前期から40.1ポイントも上昇しています。2021年1月には2回目の緊急事態宣言が発出されましたが、調査期間中の継続検査台数が前年同期比で7.3%増加したことと、自動車整備費や自動車部品・用品への家計支出額は増加しており、整備業界への影響は限定的に留まりました。
本書は、直近のこうした動きを見ながら、整備業界の実態を把握するべく、整備工場数の動向を調べました。すると、整備工場数は3年連続の減少に転じており、いよいよ「整備工場の減少時代」が本格化する兆しが判明しました。
次に、2022年7月から新型車への搭載が義務化された事故情報記録装置「EDR」(イベントデータレコーダー)と「サイバーセキュリティ対策」の強化に関する情報を掲載しました。同時期に義務化されたこの2つの規制は、自動運転時代をにらんでの措置であり、今後の自動車整備のあり方を大きく左右することになるものと推測されます。
こうした状況を踏まえながら、次章では2020年4月に施行された「自動車特定整備」の認証取得の状況分析と、市場における特定整備対応の動きを追いました。
続いて、今後の活路を見出すべく、国際オートアフターマーケットEXPO(IAAE)2021で行われたフォーラム・セミナーの中から、自動車整備事業者が生き抜いていくうえで参考となる内容をまとめました。
併せて、生産性向上、DX化、SDGsという旬な話題とともに、人口減少時代に過疎地域での生き残りを図る整備事業者の戦略をレポートしました。さらに、近年活発化する業界内での「協業・連携」の動きも網羅しました。
巻末には、「自動車整備白書」の分析記事と、自動車機械工具各社の企業要覧を収録しています。
掲載項目
自動車整備業界の実態

自動車整備業界の実態1
コロナによる整備売上への影響はほぼ収束
業績回復で景況感も調査開始以来の最良に

自動車整備業界の実態2
「整備工場の減少時代」が本格化の兆し
特定整備施行も工場数は3年連続で減少

<データ室> 整備要員の平均給与


自動車整備行政の動向

自動車整備行政の動向1
EDR装着義務付けで事故責任が明確に
整備ミスも事故調査で責任を問われる!?

自動車整備行政の動向2
「サイバーセキュリティ対策」の強化で
アクセス制限でエーミングができない!?


特定整備への対応

特定整備への対応
「自動車特定整備制度」施行から1年半
2万2889工場が「電子制御装置整備」の認証を取得

日本技能研修機構
「エーミング・センター」を全国展開
「エーミング料金マスター」を公開へ

日立Astemoアフターマーケットジャパン
エーミング作業の新たなネットワーク
「日立エーミング認定店」を全国展開

オートバックスセブン
キャリブレーションエリアを熊本に開設
次世代技術対応整備ネットの構築が進む

BSサミット
自動運転車整備へ対応すべく情報・人材・
設備を備えた教育プロジェクトを構築へ

オートアフターマーケット再興戦略基盤
ADAS時代のエーミングの可能性
ティーワールド代表・藤田隆之氏
ASA代表・木下寛士氏


IAAEにみる活路

IAAEにみる活路1
第18回国際オートアフターマーケットEXPO2021
オートアフターマーケットサミット2021

IAAEにみる活路2
電子制御装置整備への対応に欠かせない地域連携
広義のアフターマーケットネットワークが未来を創る

IAAEにみる活路3
変わりゆく車検の現状と今後
過渡期のビジネス環境をいかに捉えるか

IAAEにみる活路4
注目される輸入車整備ビジネス
広がる輸入車市場へのアプローチ


整備工場の活路

オートアフターマーケット再興戦略基盤
「クルマの進化への挑戦」各界の有識者が
見据えるオートアフターマーケットの今後

AOS総合研究所
「生産性」を上げなければ明日はない!
「生涯取引」で取引回数と粗利を増加へ

ファーストグループ
「AI社員」が自動車事業経営を支援
DX化で整備工場のイメージを変革!

マイスターズ
SDGsに取り組み社会貢献を果たす!
社会と顧客に認知され本当の価値提供へ

整備工場の活路
「人口減少社会」をどう生き抜いていくか
過疎化が進む地域での新たな取組みとは

セキハツオートワークス
社員第一から家族ぐるみでの関係を構築
過疎地域でイネーブラーサービスを開始!

モリ
自動車事業から小売業まで多角経営を推進


協業・連携の時代

オートバックスセブン
オートバックスが業界の垣根を越えて
BSサミット・日産自動車と協業・連携


SBI損保・JATTO・DRPネットワーク
損保・整備工場・板金工場が提携して
「電子制御装置整備ネットワーク」を構築


ジョイカル×マッハ
車販のジョイカルと車検のマッハが連携
車販から車検・車検から車販をDXで推進


ヤマダデンキ×JARWA
家電業界の雄が30万台規模の車検獲得
を目指し「ヤマダ車検」を全国展開へ


自動車整備市場の動向

自動車整備市場の動向.1
総整備売上高は0.6%増の5兆6561億円
「事故整備」のみが前年実績を割り込む

自動車整備市場の動向.2
車検整備売上高は台当たり単価上昇と
1年車検売上の好調で4年連続で増加

自動車整備市場の動向.3
車検台数は3273万台で2年ぶりに減少
指定はシェアが過去最高、認証は続落

自動車整備市場の動向.4
車検単価は2年車検・1年車検とも上昇
1年車検は10万円を超えて過去最高に

自動車整備市場の動向.5
「専業」の売上高=認証は減少に歯止め
指定も上向くが2兆円台は回復できず

自動車整備市場「当面の見通し」
中長期的に保有減少により車検も減少へ
人材確保の取組み強化と人材育成が課題


企業要覧