B5判 160頁
3,300円(税込)送料別
(2020年11月30日発行)
新型コロナウイルスの感染拡大により大打撃を受ける業界がある中で、自動車整備業界への影響は、それらの業界に比べて軽微な状況にあります。事故により需要が発生する板金塗装は、緊急事態宣言発令期間中(2020年4月〜5月)は経済活動の収縮や人々の外出自粛により需要が減少しましたが、緊急事態宣言の解除により需要は回復に向かっています。
また、4月〜6月に大きく落ち込んだ新車市場も、7月以降は減少幅が縮小し、10月には販売台数が増加に転じました。前年が消費増税と大型台風被害の影響で大幅マイナスとなったことがプラス転換の要因ではありますが、29.2%増という高い伸び率は新車需要が盛り返している証しと言えるでしょう。
こうした中で発行する本書は、コロナ禍における整備業界の経営状況を探るため、日本自動車整備振興会連合会が実施した「整備需要等の動向調査」の結果を分析しました。それを見ると、2020年1月〜6月の整備売上高はマイナス成長と回答した事業者が多いものの、その度合いは「やや減った」が37.4%、「減った」が32.0%で、比較的減少幅は小さかったと判断できます。
とは言うものの、本書を発行する時点(2020年11月末)でもコロナ禍は続いており、感染防止対策を徹底しながら、次代を見据えた事業経営に当たることが重要です。
こうした観点から、今回は整備工場における事業戦略レポートに主眼を置いて編集しました。整備工場の目指す道は、自動車事業総合型、整備技術特化型、輸入車整備への注力など様々であり、それに取り組む工場レポートをはじめ、大型車整備工場における事業戦略も取り上げました。また、従来の工場スタイルとは一線を画す、新たな店づくり戦略も紹介しています。
事故の減少により需要が減少する厳しい状況にある板金塗装業界については、2大ネットワークの生き残り策を追いました。
また、整備業界にも「協業・連携」という新たな動きが出てきました。組織と組織が協業し連携するという従来にはない大きな動きで要注目です。
巻末には、「自動車整備白書」の分析記事と、機械工具各社の企業要覧を収録しました。
掲載項目
自動車整備業界の実態
自動車整備業界の実態1
新型コロナで整備業界の景況感は大幅に
悪化するも業績は悲観する状況にはない

自動車整備業界の実態2
「整備工場の減少時代」がいよいよ到来
工員不足や後継者難などの廃業が深刻化

自動車整備業界の実態3
半数の工場で整備士が「不足状態」

自動車整備業界の実態4
整備士不足下での外国人材の雇用状況


電子整備の活路
「OBD検査」の開始日が決まる
2024年10月の業務開始に向けた取り組み状況

エーミング・ジャパン
各地で「エーミング・センター」が発足
電子制御装置整備に向け稼働を開始

日本技能研修機構
外国人雇用、技術伝承、新技術標準化など
業界の抱える課題に包括的に取り組む

ボッシュ
エーミングのエキスパート工場を認定
技術の進化に対応するサポートを実施

ボッシュ
「エーミング」と「事故解析」による
板金・整備工場の新ビジネスモデル


整備工場の活路
ワカマツ自動車
他社にはない独自のカラーを打ち出し
「オンリーワン経営」で生き残りを図る

シグマ自動車
コロナ禍でも輸入車の新規入庫を拡大
高度化に対応できる人材育成が課題

Laulima!カーサービス
車の修理費用の一部が「寄付」になる
修理を通じた新しい地域社会への貢献

港北自動車
アライメントのビジネス化に成功!
人材を育成し『カードクター』目指す

ミナト自動車
車検、故障診断など従来型整備から脱却
「リフレッシュ整備」で車の性能を回復

タケマサ自動車
お客様から「頼られる存在」を目指す
確実な診断と説明と対話で信頼を得る

Ts.オオタニ津島店
「お客様目線」こそ生き残りの要諦
中国製EVで新たな事業領域に挑戦

鈴木自動車
「社員の成長」が高い生産性を生み出す
L・D・P商品戦略で総合収益型工場へ


大型車工場の活路

ヨシノ自動車
トラックに全て対応するオールトラックス
ボルボトラックをカッコ良くカスタマイズ

彌生ヂーゼル工業
整備売上向上のカギは「整備人材」の確保
待遇を改善して働きやすい環境を創出!

神奈川石油販売
整備士の年間休日は「105日」
「みなし残業制」で働き方改革を実施

<データ室> 整備要員の平均給与


店作りの活路
店作りの活路
「ライフスタイル」や「趣味」でつながる
新発想の新たな“店作り”が始まる!

神中興業
従来の整備工場スタイルとは一線を画す
新しい店舗スタイルの工場をオープン

GTNET
日産東京販売HDとGTNETが資本提携
カフェと車検をコラボさせた店作りが好評

タイヤガーデンParK
カフェの雰囲気の外観に店内は雑貨の山
タイヤ・整備に雑貨を融合させた店作り


板金塗装工場の活路
DRPネットワーク
市場を取り巻く環境変化に対応すべく
委員会活動を活性化し巻き返しを図る

BSサミット
次世代車への対応力こそ生き残りのカギ
「BSエビデンスシステム」を運用開始


連携・協業の時代
地域移動課題解決推進協議会
地域の「移動困難者」を救う新組織が発足
地域密着モビリティで持続可能な社会を

オートバックス/BSサミット
カー用品最大手とBP業者組織が提携し
次世代技術に対応する整備ネットを構築

JATTOとカーコンがエーミングで提携
作業依頼に加え将来は加盟店研修も実施


自動車整備市場の実態
自動車整備市場の実態1
総整備売上高は1.7%増の5兆6216億円
すべての作業分野が前年比プラスに!

自動車整備市場の実態2
「車検整備売上高」は3年連続で増加!
1年・2年車検とも台数が増加に転じる

自動車整備市場の実態3
車検台数は3276万台で2年ぶりに増加
指定はシェアが最高、認証は600万台割る

自動車整備市場の実態4
車検整備単価は3年ぶりに低下するも
ディーラーは上昇、専・兼業は低下

自動車整備市場の実態5
「専業」は依然2兆円台を回復できず
小規模工場は売上減、中規模以上は堅調

自動車整備市場「当面の見通し」
保有台数減少で車検台数も減少か?!
人口減少・車離れで人材確保が課題


企業要覧