B5判 144頁
3,000円+税(送料別)
(2017年3月31日発行)

日本自動車整備振興会連合会が実施した「自動車分解整備業実態調査」によると、2015年度の総整備売上高は前年度比2.2%減の5兆3944億円となり、2年連続で減少しました。
2016年度も新車販売は停滞しており、個人消費の回復が遅いことや、保有市場における車種構成の変化(コンパクトカーとハイブリッド比率の高まり)などを勘案すると、整備需要が右肩上がりに増えることは期待しにくい情勢です。
こうした中で発行する本書は、「自動車整備の活路」として4つのテーマを選定しました。
1番目のテーマは「技術」です。自動車技術の高度化が進展するのに伴い、整備技術も高度化していくことが求められています。行政と業界団体による高度化支援の現状と、整備士への取材を通じて、自助努力による高度化対応への取り組みを掲載しました。
併せて、技術が活きる領域として「輸入車整備」と「福祉車両整備」を取り上げました。従来、本書は整備事業者への取材レポートを中心に編集してきましたが、今回は、整備事業者を「サポート」する組織に焦点を当てました。その理由は、輸入車や福祉車両を取り扱うには、専門知識が必要であり、かつ、ネットワークに入ることで1社ではできない取り組みを実現できるからです。
2番目のテーマは「新車販売」と「顧客囲い込み」です。競合店との顧客争奪戦が激化する今日においては、車検にのみ注力するのではなく、その先にある車販も強化しなくては、いずれは他店に車検客を取られてしまいます。
その車販と囲い込みを実現するための手法として「マイカーリース」に着目。整備事業者向けに、商品と販売ノウハウを提供しているチェーンを特集しました。
また、顧客との関係強化と新たな収益源として注目が高まっている「自動車保険」についても、保険に特化した事業展開を推進している事業者のインタビューを掲載しました。
3番目のテーマは「車体整備」です。新素材と先進安全装備の普及により、その対策が急がれる車体整備の今後と工場経営のゆくえをまとめました。
4番目のテーマは「顧客満足」です。自動車整備業は「サービス業」であり、顧客満足なしに企業の隆盛はあり得ません。ユーザーから寄せられた不満足要因を分析して満足度を向上するという、逆説的手法で接客のあるべき姿を解説しています。
掲載項目
自動車整備市場の実態

自動車整備市場の実態1
2015年度の総整備売上高は
前年度比2.2%減の5兆3944億円

自動車整備市場の実態2
整備工場の「赤字」比率がやや悪化
規模別に格差が広がる整備工場経営

自動車整備市場の実態3
整備業界の「景況感」調査
6割の事業者が“景気の悪さ”を実感

自動車整備市場の実態4
整備工場数がついに“減少”
「後継者難」「工員不足」倒産が深刻に

自動車整備市場の実態5
組合員数と車検入庫台数の減少により
整備協業・協同組合の厳しさが増す


自動車整備技術の高度化

☆「汎用スキャンツール」の活用は不可欠!新たな標準仕様が固まる
☆スキャンツールを活用した「予防診断」への取り組みが進む
☆スキャンツールを使わない点検・整備は「問診」をしない病院と同じだ!


自動車整備の活路

輸入車」は整備技術を活かせる領域
保有増と顧客層の変化で商機が到来!

日本輸入車整備推進協会
街の整備工場でも輸入車整備はできる
整備現場で役立つ実践技術情報を提供

ボッシュカーサービス
整備工場を総合的にサポートして
高品質メンテ&サービス工場を実現

マイ・スターネットワーク
整備工場への診断機レンタルを主軸に
技術情報の提供・共有化等でサポート

外国自動車輸入協同組合
輸入、試験・改善代行、整備・部品まで
輸入車事業に関する業務をサポート

ドイツにみる整備市場の未来
高度化により整備市場は劇的に変化
整備工場の単独での生き残りは困難

輸入乗用車の車名・ブランド別自動車保有台数



「福祉車両事業」は地域貢献を前提に
販売と点検・整備の同時展開が必須!

社団法人日本福祉車両未来研究会
整備事業者として「技術」を武器に
地域密着を基本スタイルとして活動

一般社団法人全国総合福祉車両協議会
地域に根ざした整備工場の機動力を
活かし「福祉」との融合を進める

一般社団法人日本福祉車輌協会
「福祉車輌取扱士」が1万人を突破
「安全運転講習会」を全国で拡大展開

福祉車両の販売台数の推移


「新車販売」を強化して顧客を守る
「マイカーリース」は最強の商品!

オートコミュニケーションズ
直営店のノウハウを活かし「フラット7」
の加盟店数と申込件数が順調に増加

カーベル
「ナンバーワン・セット」がさらに伸長
加盟店と「顔晴って」1000店を目指す

ジョイカルジャパン
「セブンマックス」の販売実績が急成長
2017年度中に加盟店を5倍の500店へ

ロートピア
「新☆車生活」の販売ノウハウを充実させ
今年度は新規契約台数の倍増を狙う

西自動車商会
マイカーリースこそ自整業の生き残りの道
「スーパー乗るだけセット」で生涯顧客化


整備業もメンテナンスパックと延長保証による「顧客囲い込み」に注力すべき

ロートピア
車検時でもメンテナンスパックは売れる
延長保証とのセット販売で契約獲得へ

京都府自動車整備振興会・商工組合
独自のメンテナンスパック&保証で
整備専業者の顧客囲い込みを支援!

メンテナンスパックの効果


自動車バリューチェーンの中で「自動車保険」をどう位置付けるか

辰口自動車販売
「車」から「人」へ事業モデルを転換
24時間365日稼動の整備工場を開設

保険キャンパス
保険も「車」から「人」中心にシフト
自整業の生命保険ネットワークも構築


自動車車体整備の活路
自動車新技術への対応は待ったなし
事故修理の減少にどう対応すべきか

日本自動車補修溶接協会
超高張力鋼板は適切な溶接作業が必須
新たな枠組みで補修溶接の安全性を確保

ドイツに見る日本市場の未来
自動車技術の高度化で車体工場が激減
大規模化と資本提携で生き残りを図る

BSサミット事業協同組合
車体整備業界が「崩壊」しないため
今後のあり方を話し合う場が必要

TRJ
テュフが第三者機関として公正に監査
車体整備工場の認証制度は根づくか!?


顧客満足は生き残りの大前提
・「不満足」が起こる原因を知り、その芽を摘み取ることが「満足度」を向上させる
「自動車整備相談窓口」に寄せられた生のトラブルやクレーマー対策を弁護士が指南


自動車整備人材の確保・育成
「自動車整備士不足」の改善を目指す
国土交通省と関係団体の対策方針