業界団体のやって良いこと、悪いこと

毎日のビジネスの中に公正の意識と透明性を

 毎年5月から6月にかけて業界団体の総会が開催される。自動車アフターマーケットは特に団体が多いことで知られる。良く言えば「市場が多様でビジネス・チャンスが多い」。悪く言えば「市場がバラバラで統率の取れない状況」なのである。
 このように業界団体の数は多いが、その活動内容は新味が無く、方向性も明確になっていないと感じられる。これは業界団体の活動が徐々に難しくなってきているからであろう。
 特に規制緩和が推進される中で、民間による民間の規制の問題(民民規制)がクローズアップされて来ている。これは、業界団体やその構成メンバーにより実施される「競争制限的な民間慣行」の存在が注目されてきたからだ。
 本年3月に発表された規制緩和新3ヵ年計画でも「その実態を調査し是正。また、その背景に競争制限的な行政指導が存在する場合には、関係省庁に対して早急な見直しを求める」としている。
 また公正取引委員会の「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」についても 95年 10月に改定されている。
 幸いアフターマーケットの諸団体にはそんなに大きな利権は無いようだが、規制緩和の推進に伴い競争政策の強化が問われている時代に、個々の事業者の意識は旧態依然で変革が進んでいない傾向が見られる。
 例えば業界団体は構成メンバーの取扱う商品の価格について団体交渉で決定してはならない。
 懇談会等の話題に価格の値下げ要求、価格維持のための安売り業者の排除、共通の算定方式の設定による価格決定、再販価格の維持の申し入れなどが出れば原則として違反であるのは言うまでもない。営業日、営業時間、広告・宣伝活動の制限など「自由な営業活動を制限する行為」も原則違反となる。また共同販売等による競争制限や参加の強制は違反となる恐れがある。
 こうした事は業界団体のリーダーの方は良く理解されているものの、事業者の末端まで十分浸透しているとは言いがたい。今後の継続的な啓蒙活動が必要となる。
 独占禁止法という法律は刑法や民法のように「やったらいけない事」が決まっている訳ではない。例えば刑法では「人を殺したら罪になる、他人の所有物を盗んだら罪になる」と明確であるが、独占禁止法では同じ行為であっても、ある時は罪になり、ある時は罪にならない。これは関係者の力関係により異なるし「市場の実態において競争制限行為が行われ消費者の利益が損なわれたか」が問われるのである。
 公正取引委員会が発表する各種ガイドラインには「原則として違反になるもの」「違反となる恐れがあるもの」「原則として違反にならないもの」という区分で各種の行為が分類されている。
 「原則として」とか「恐れがある」などの言葉が付いているように曖昧な感じがするが、これはそれぞれの状況により判断が変わってくるからだ。
 事業者はガイドラインと毎年発表される「主要相談事例」を元に判断するしかないわけだが、やはり毎日のビジネスの中に公正の意識と透明性を培っていくしか解決策はない。これが定着すれば「恐れがある」ことに近付かないで済むのである。
 これは消費者を中心に据えたサービス業の革新にも繋がる新しい課題である。
(編集長 白柳孝夫)