日本の補修部品業界に59億ドルの過剰制裁

 ミッキー・カンター米通商代表部(USTR)代表は日米自動車・同部品分野の協議に関連して、米通商法301条に基づく対日制裁リスト案を公表した。
 その内容は、既に報じられている通り「日本から輸出される高級車13モデルに100%の関税を掛ける」もので、リストに掲載された輸入車は94年時点で約59億ドル相当(1ドル100円で換算して5900億円)になる。
 今回、発表された制裁は通商法301条によるもので、その原因は日本の補修部品市場の政府規制に係わるものである。
 カンター代表も制裁リスト案発表後の記者会見で、記者の質問に答え「アフターマーケットの自動車部品に起因するものだ」と明言している。そうだとすると、この金額は日本の補修部品市場の調査から出て来たものである訳だ。
 そこで日本の自動車補修部品市場を対象とする専門誌として意見を言わせて戴くと、この制裁金額は驚くべき大きさであり余りにも過剰だ。
 USTRは、ぜひ金額の算出の根拠を日本の補修部品市場の関係者に教えて戴きたい。明細を明らかにしてほしい。
 その金額は、日本の補修部品市場に参入しようとした米国補修部品が、「障害」により受けた被害額であるべきだ。参入障害を受けた部品を具体的に明確に示し、その各部品に対する被害額、算出の根拠を示して欲しい。
 日本の補修部品市場は規模も小さく、制裁金額に見合う被害を与えたとは思えない。政府の規制による被害額も微々たるものであると推測される。
 例えば59億ドル(5900億円)の被害と言えば、日本の重要保安部品の年間総市場の3年分以上である。米国はもし日本政府の規制がなければ重要保安部品の全市場の3年間分を米国製品で埋め早くせるというのだろうか?
 また参入しようとして、障害により被害を受けた米国製部品にどのようなものがあるのかを、我々は是非、知りたいと思っている。
 日本の多くのアフターマーケット関係者はあまり米国製部品の売り込みを受けた記憶がないし、具体的品目でもモンローのショックアブソーバとチャンピオンのスパークプラグぐらいしか思い浮かばない。
 ショックアブソーバもスパークプラグも日本市場ではマイナーな商品領域であり米国の言うように「障害による被害があった」としても1億ドルにもならないだろう。
 この過剰制裁は何を意味するのであろうか。
 もし制裁の理由が補修部品だけでないとすると、301条の法的根拠を越えた、意図的、政治的な一方的制裁ということになる。
 多くの日本の国民が疑っているように「米国政府の制裁リストがわが国の自動車メーカーに米国製部品購入計画の上積みを求めるため不当に圧力を加えるもの」だとすると世界の自由貿易システムを脅かす容認できない行為という事になる。
 301条は悪法であるが「法」である。日本側も補修部品市場の実態を調べ、過剰の制裁であれば米国通商法にもとずき反論すべきであろう。
(編集長 白柳孝夫)