グローバル化するアフターマーケット


日本の自動車産業はグローバル化が進展している。
自動車メーカーは、日本国内のみならず、自動車の需要のある国・地域で現地工場を設立し、現地従業員を雇用し、現地部品を調達して、現地のニーズにマッチした車両を生産している。
国内自動車生産は 02年以来、好調に増加を続けているが、海外における自動車生産は、それ以上に伸びている。
現在、日本の自動車メーカーは全世界で年間2300万台強の車両を生産している。この内、半分は日本国内で生産し、後の半分を海外(米国・欧州・アジア等)で生産している。
一方、国内自動車販売は低迷している。昨年の国内自動車生産は対前年比1%増の1160万台であったが、国内販売は7%減の535万台の低水準で、逆に輸出は 10%増の655万台と躍進した。
海外からの自動車輸出は年間 23万台。この中の3万台は海外で生産された日本ブランド車である。
以上を整理すると、国内・海外で生産されている日本ブランド車の中で、国内で販売されているのは 23%に過ぎず、それ以外の77 %は海外で販売されている。
さらに、ここ数年は日本の中古車輸出も急増しており、昨年の輸出抹消登録は対前年比13 %増の143万台となった。 ただし、これは「完成中古車」の輸出であり、この他に中古車のノックダウン輸出(中古部品として輸出)もあるそうなので、実際のところは何台が輸出されているか不明である。
◆補修市場にも変化が?
以上のように日本の自動車生産と販売のグローバル化は補修部品の流通にも関係する。
日本で販売される部品の中で海外調達品が増えている。これはOE(ライン組付部品)、OES(純正部品)、AM(市販部品・用品)のどの領域においても、この傾向が見られる。
海外からの補修部品のオーダーが増えている。これもOES、AM、中古・リビルト部品の各領域で、この傾向が見られる。
部販・共販の店頭(フロント)にロシアのバイヤーが部品を購入に来たり、輸出中古車の商品化(補修)に中古・リビルト部品の注文が増えたり、市販部品メーカーに外国部品メーカーから提携話(M&A)が来たり……と新しい動きが出てきている。
しかし、関係者に聞くと海外ビジネスの開拓は甘くないという。日本製品は高品質・高コストで、価格競争力が無いので開拓可能なのは海外のプレミアム市場のみである。ボリュームの大きい低価格市場は中国製品が席捲しており、その中間の普通価格帯は、現地の部品メーカーががっちりと抑えており攻略できない。海外市場へのチャレンジはあきらめないが、やはり、「日本市場を深耕するしか活路はない」というのが結論のようである。
(編集長・白柳孝夫)