少子化と長寿化の進行に対応
ハイテク安全装置の装着が始まった

日本は今世紀の前半に急速な老齢化と人口減少を経験する。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、人口が減少に転じるのは2007年であり、その後はゆるやかな放物線を描いて減少していく。
一方、老齢化は急速に進み、65歳以上の人口は2006年に20%を突破、2033年には30%を超える。あまり想像したくないが、道路を歩いていて10人の人とすれ違ったら、そのうち3人は65歳以上の老人という現実が迫っているのである。
このような時代が来ると自動車社会も変わらざるを得ない。自動車免許の取得者でも65歳以上の方が増えているのである。
彼らはドライブの醍醐味を楽しむよりは、より安全に、より精神的な負担を少なくして運転したいと思うだろう。
昨年、市場投入された新型車を見ると、ITSやASV(先進安全自動車)の技術がいよいよ本格的に実用化されてきたと感じられる。
例えばトヨタは低速域での追従機能を有し、渋滞時の運転負荷を軽減するレーダークルーズコントロール(低速追従モード付)を開発し、クラウンマジェスタに搭載した。
これは1997年にセルシオで採用して以来、展開してきた従来型のレーダークルーズコントロールに対し、時速0〜30kmでの低速追従機能を追加したもので、先行車に追従し、先行車が停止した時は、告知音と表示でドライバーのブレーキ操作を促すとともに、万が一、ブレーキ操作が遅れた場合は停止まで制御する。
また、ホンダが新型レジェンドの搭載した高速道路運転支援システムは、フロントウインド上部内側に設けたカメラが捉えた画像をもとに車線を認識し、電動パワーステアリングに適切なトルクを発生させ車線維持をアシストする。さらに、フロントグリル内のミリ波レーダーからの情報により前走車との距離を測定、車速センサーやヨーレートセンサーで自車の走行状態を検出し、設定した速度を一定に保つほか、同一車線の前走車の有無によって車速・車間を自動制御する。

こうしたクルーズ・コントロールは以前から継続的に開発されてきたが、それがいよいよ高度化され、ブレーキ、アクセル、ステアリングを電子的に総合制御する時代となった。
これらのシステムは、まだ高級車に装着されているだけであるが、かつてのABS(アンチロック・ブレーキシステム)のように、やがて一般車両に装着される時代が来るかもしれない。
こうした時代が到来した時に、自動車整備の環境は大きく変わるだろう。急速に進む制動装置、動力伝達装置、かじ取り装置の電子制御化に対応し整備のあり方はどう変化するのか?
これは、近い将来、アフターマーケットが直面する課題であることは間違いないだろう。
(編集長・白柳孝夫)