レトロフイットとモデファイ

  このところアフターマーケットの景気は、本当に悪いようである。法定需要に支えられて来た業界が活力を失い、新しい環境への対応が出来ないためマクロ経済の不調の影響をダイレクトに受けている。
 言うまでもなく需要は、あらかじめ存在するものではなく、生み出すものである。米国、欧州、アジア諸国などそれぞれの国に自動車アフターマーケットの文化があるが、日本には「特殊なマニア向けの文化」と「クルマ好きの文化」しかない。
 中心となるべき「一般ユーザーのメンテナンス文化」は無いのである。この部分は法定需要がカバーしていたからだ。早急に日本の市場に合わせた文化を作らないと、車両の品質向上とハイテク化の中で急速に縮小していくのは目に見えている。
 それでは日本にどのような文化を作ればいいのだろう。現在の日本の状況、 21世紀初頭という時代背景を考えると、環境問題とからめて考えていくしかないだろう。既に大量消費、大量廃棄は先進国では過去のものになってしまった。これに変わる新しい文化は「循環型」と言われるものであるが、この分野に関する技術的研究は、まだ遅れていると言わざるを得ない。
◎リマニュファクチュアの時代
 既にあらゆる産業で商品の電子制御化が進み、製品を構成する材料が複合化しており廃棄処理困難物が増加している。
製品の構造が単純で、多くが鉄で構成されていた時代は、原材料に戻すマテリアルリサイクルが主流であったが金属とプラスチックが複合化し、組み合わさっている部品を素材毎に分けるのは大変な労力と費用を要する。今後は使える部品をコンポーネントとして再利用する「リマニファクチャリング」の推進が望ましい。現在では産業用ロボット、自動販売機、コピー機、プリンター、パソコン、スーパーマーケットのレジスター、携帯電話、オフィス家具などで、リマンは進んでいる。
 自動車のアフターマーケットにおいても、中古部品に続き、最近ではリビルト部品の市場が拡大している。しかし、一方で価格競争が激化しており、すでに消耗戦の様相を呈している。今後は部品の品質向上の影響が出てくるため需要が縮小すると予想される。そこで、今後のアフターマーケットを考える上で重要になると思われる2つのキーワードを紹介したい。
◎レトロフイット
 レトロフイットとは使用中の機械が古くなった時に、部品を入れ替え改造することである。すでに工作機械では、当たり前に実施されている。
自動車アフターマーケットでは特定フロン規制に対応して旧フロン(R12 )対応のエアコンを新フロン対応に改造するレトロフィットキットが発売されている。このエアコンのレトロフイットは売れなかったが、今後の環境規制の強化の中で使えなくなった車両を、レトロフイットで、継続的に使えるようにする技術が必要になるだろう。さしあたり、ディーゼル排気ガス規制に対応したDPFフィルター等もそのひとつであるが、今後はさらに、こうした研究が必要になるだろう。
◎モデファイ
 モデファイという言葉はマニアの間で「改造」と同じ意味で使われているようであるが、ここで取上げたいのはリビルト部品のモデファイである。
 日本の場合、自動車部品のアイテム数が多く、また、廃車から回収した部品は車齢 10年を超えており現行車の補修需要とマッチしない。そこで、こうした廃部品を単純にリビルトするだけでなく改造して使えるようにする方法があるのではないか(既に一部で行われている)。
これを大規模に推進するには既存のリビルダーのノウハウと自動車メーカーや部品メーカーの技術的支援を結合する必要がある。こうした環境技術が日本の新しい「お家芸」になれば国際的にも注目されるだろう。(編集長・白柳孝夫)